CHAPTER 9
🤱

つわり・葉酸・鉄・便秘

妊娠中、いちばん身近な"日常薬箱"

この章で答えること

  • つわりがひどい。吐き気止めは飲んでいい?
  • 葉酸は何ミリ、いつから、いつまで?
  • 鉄剤で気持ち悪い。どうしたらいい?
  • 便秘で酸化マグネシウムは大丈夫?
  • 漢方薬は妊婦もOK?
🤢
第9章|9-1
つわりの薬
STEP 01 "ただ耐える"はもう古い

MORNING SICKNESS脱水になる前に
お薬を使う

マミ
7週から12週くらいまで、もう食べるのも水飲むのも無理で。吐き気止めは処方してもらっていいんでしょうか?
りーこ
つわりで"ただ耐える"のは、もはや古い常識。脱水・体重減少・ケトン体陽性になる前にお薬を使うのが世界標準なの。

つわりの薬 段階別

段階コメント
軽度ビタミンB6(ピリドキシン)10〜25mg×3〜4回、サプリ可
中等度プリンペラン(メトクロプラミド)◎ 第一選択級
中等度ナウゼリン(ドンペリドン)○ 代替
重度オランザピン入院時
重度ステロイド最終手段
補助ショウガ(500mg/日)
補助小半夏加茯苓湯◎ 漢方の定番
076
第9章 — つわり
🚨
妊娠悪阻のサイン
受診の目安

こうなる前に受診を

⚠️ 受診サイン

  • 体重 5%以上減少
  • 1日10回以上の嘔吐
  • 8時間以上水分も取れない
  • 尿の色が濃く、回数が少ない
  • ふらつき・意識もうろう
りーこ
ここまで行く前に、点滴+プリンペランで乗り切れる。我慢しないで産科に相談してね。
マミ
"プリンペラン+B6"は妊娠悪阻の定番コンビなんですね。
りーこ
軽症ならB6+ショウガ+小半夏加茯苓湯で乗り切れる人も多いよ。

🌸 9-1のまとめ

1耐えない。早めに介入
2定番はプリンペラン+B6
3脱水前に受診
077
第9章 — 受診目安
🌱
第9章|9-2
葉酸の使い方
STEP 02 妊活前〜妊娠12週がゴールデンタイム

FOLIC ACID神経管閉鎖障害を
防ぐビタミン

マミ
葉酸って、薬局にいろいろあるけど、どれを選べばいいですか?
りーこ
葉酸は神経管閉鎖障害(二分脊椎など)を防ぐビタミン。妊活1〜3ヶ月前〜妊娠12週が摂取のゴールデンタイムなの。

葉酸・推奨量

対象推奨量期間
一般妊娠希望の女性400μg/日妊活前〜妊娠12週
抗てんかん薬服用中4〜5mg/日妊活前〜産後
前妊娠でNTD児を出産4〜5mg/日妊活前〜12週
スルファサラジン・MTX等2〜5mg/日服用中継続

💡 市販サプリと処方薬の違い

  • 市販サプリは通常 400〜600μg。一般の妊活女性はこれでOK
  • 高用量(4〜5mg)は処方薬=フォリアミン
  • 食品由来は吸収率が低い → "モノグルタミン酸型"サプリを推奨
078
第9章 — 葉酸
葉酸Q&A
よくある疑問

3つのよくある質問

💬 Q&A

  • Q. 12週を過ぎたらやめていい?
    → 葉酸は全期間必要。後期は400μg継続でOK
  • Q. 食べ物だけじゃダメ?
    → 食品由来は吸収率が低い。サプリ併用が推奨
  • Q. 葉酸のとりすぎは?
    5mg/日を超えない範囲なら問題なし
りーこ
葉酸は"妊娠が分かってから"では遅いことが多い。神経管は妊娠4〜5週でもう閉じるから、妊活を始めたら飲み始めるのが鉄則。
📅
妊活開始=葉酸開始 "妊娠してから"では間に合わない。計画的に

🌸 9-2のまとめ

1一般は400μg/日
2妊活前から開始
3モノグルタミン酸型を
079
第9章 — Q&A
🩸
第9章|9-3
鉄剤の副作用対策
STEP 03 "続けられるか"が命

IRON吐き気で挫折しないコツ

ユキ
ユキ:産後にフェロミアって鉄剤を処方されたんですが、飲むと吐き気が出ちゃって。
りーこ
鉄剤の副作用、"吐き気・便秘・黒色便"は50〜70%の人が経験する。でも、鉄不足のまま妊娠・出産・授乳を続けるのも危ない。

💡 副作用を軽減する5つのコツ

  • ① 空腹時がベスト。胃がつらければ食後すぐでもOK
  • ② 水ではなくビタミンC入り飲料(オレンジジュース等)と
  • カフェイン・牛乳は2時間ずらす(吸収低下)
  • ④ 辛ければ"隔日投与"(毎日より副作用少・吸収◎)
  • ⑤ ダメなら静注(フェジン/フェインジェクト)
080
第9章 — 鉄剤
💉
鉄剤の種類
内服・静注

鉄剤 一覧

商品名一般名コメント
フェロミアクエン酸第一鉄胃障害少なめ
フェルムフマル酸第一鉄古典
フェログラデュメット硫酸鉄徐放徐放型
インクレミン鉄シロップ小児・吐き気時
フェインジェクトカルボキシマルトース鉄静注・短時間
フェジン含糖酸化鉄古典的静注
りーこ
妊娠中の鉄剤は、吸収率よりも"続けられるか"が大事。副作用で挫折するくらいなら、隔日 or 静注を選ぶほうが結果的に効くの。
🔄
"隔日投与"は最近注目の戦略 2020年以降のエビデンス。毎日より副作用が少なく吸収率も実は高い

🌸 9-3のまとめ

1ビタミンCと一緒に
2辛ければ隔日投与
3最終手段は静注
081
第9章 — 種類
🚽
第9章|9-4
便秘の薬
STEP 04 マグミットが第一選択

CONSTIPATION酸化マグネシウムは
全期間OK

マミ
妊娠してから便秘がひどくて。3日出ないと苦しくて……マグミットは飲んでいいですか?
りーこ
酸化マグネシウム(マグミット/マグラックス)は妊娠中・授乳中の便秘の第一選択。ほぼ吸収されず、大腸で水を引き寄せて便を柔らかくするだけ。

便秘薬 妊娠中評価

妊娠中コメント
マグミット/マグラックス◎ 第一選択全期間OK
ラクツロースシロップ
ラキソベロン(ピコスルファート)○ 頓用液体で調整
プルゼニド(センノシド)△ 頓用連用不可
アミティーザ×動物実験で影響
リンゼス△ データ少個別判断

🌿 薬の前にやること

  • 水分 1.5〜2L/日 / 食物繊維 / 朝の白湯
  • 適度な運動(ウォーキング・マタニティヨガ)
  • プロバイオティクス(ヨーグルト・発酵食品)
082
第9章 — 便秘
🌿
第9章|9-5
漢方薬の落とし穴
STEP 05 "自然=安全"ではない

KAMPO漢方にも
避けたいものがある

マミ
漢方って、自然だから安全なイメージありますけど。
りーこ
その印象、ちょっと落とし穴。漢方にも"妊娠中は避けたいもの"があるの。

OK漢方 × 避けたい漢方

漢方評価効能/理由
小半夏加茯苓湯(21)つわり・吐き気
当帰芍薬散(23)冷え・むくみ・貧血
補中益気湯(41)疲労・食欲不振
半夏厚朴湯(16)のどのつかえ・不安
芍薬甘草湯(68)○短期こむら返り
葛根湯(1)○短期風邪ひきはじめ
桃核承気湯(61)×強い下剤・子宮収縮
大黄甘草湯(84)×大黄=下剤
通導散(105)×子宮収縮
八味地黄丸(附子含有)×心血管影響
⚠️
"大黄・桃仁・紅花・附子"を含む漢方は避ける 生薬一覧を薬剤師に確認してもらうのが安心
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第9章 — 漢方
📝
第9章|まとめ
りーこ先生の3行メモ
SUMMARY 覚えて帰ってほしい3つ

3 LINES TO REMEMBER妊娠中の"日常薬箱"

🌸 第9章の核心

1つわりは"耐えない"B6+プリンペラン+小半夏加茯苓湯で早めに介入。
2葉酸は妊活前〜12週は400μg/日(抗てんかん薬は4〜5mg)。モノグルタミン酸型を。
3便秘は酸化マグネシウム(マグミット)が妊娠中・授乳中の第一選択。鉄剤は隔日投与も◎。
🤢つわり介入
🌱葉酸400μg
🚽マグミット
084
第9章 — まとめ
🗂️
第9章 薬剤早見カード
お守りに

つわり・葉酸・鉄・便秘・漢方 総まとめ

商品名一般名妊娠中授乳中ひとこと
プリンペランメトクロプラミドつわり第一選択
ナウゼリンドンペリドン代替
ビタミンB6ピリドキシン10〜25mg×3
小半夏加茯苓湯漢方21つわり定番
フォリアミン葉酸(処方)高用量5mg
フェロミアクエン酸第一鉄鉄剤第一選択
フェインジェクト鉄静注◎ 重度時短時間投与
マグミット酸化マグネシウム便秘第一選択
ラキソベロンピコスルファート○頓用液体
プルゼニドセンノシド△頓用連用不可
当帰芍薬散漢方23冷え・浮腫
葛根湯漢方1○短期風邪ひきはじめ
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第9章 — 早見カード