CHAPTER 7
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自己免疫・バイオ製剤

"続けるか、やめるか"の判断がいちばん難しい薬たち

この章で答えること

  • リウマチのバイオ製剤、妊娠したらやめる?
  • プレドニゾロンは胎児に影響ある?
  • メトトレキサート(MTX)は絶対禁忌?
  • 潰瘍性大腸炎・クローン病の薬は?
💉
第7章|7-1
リウマチのバイオ製剤
STEP 01 "続ける選択肢"が主流に

BIOLOGICS10年前の常識は
もう古い

マミ
従姉妹がリウマチでヒュミラを打ってて、妊活中なんです。「バイオってやめないといけないのかな」って。
りーこ
10年前までは「妊娠=バイオ中止」だったけど、今は逆。続ける選択肢が主流になってきてるの。
マミ
え、続けてもいいんですか?
りーこ
TNF阻害薬(ヒュミラ、エンブレル、レミケード、シムジア等)は妊娠中も使えるエビデンスが蓄積してる。リウマチ・乾癬・IBDの活動性が上がるほうが、ずっと妊娠に悪影響なの。

生物学的製剤 妊娠中ランキング

商品名一般名評価コメント
シムジアセルトリズマブ◎ 第一選択胎盤移行ほぼゼロ(PEG化)
エンブレルエタネルセプト移行少、継続可
ヒュミラアダリムマブ30週前後まで
レミケードインフリキシマブ○ 20週まで後期は中止検討
ステラーラウステキヌマブデータ蓄積中
コセンティクス/トルツセクキヌマブ等個別判断
メトトレキサート(MTX)メトトレキサート× 禁忌妊活3ヶ月前中止
リツキシマブリツキサン×妊娠前6ヶ月中止
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第7章 — バイオ
📅
バイオ継続のルール
妊活前〜授乳期の計画

バイオ継続 4つの基本ルール

📋 ルール

  • 妊活前に"妊娠希望"を主治医に告げる
  • MTXは妊活3ヶ月前に中止(男性パートナーも同様推奨あり)
  • ③ TNF阻害薬は「いつまで使うか」を主治医と決める(多くは30週前後まで)
  • ④ 赤ちゃんの生後6ヶ月は生ワクチン(BCG・ロタ)を延期
りーこ
シムジアは"PEG化抗体"という特殊構造で、胎盤通過がほぼゼロ。妊娠全期間で使える最も安全な選択肢として注目されてるよ。新規導入ならシムジア、は覚えておいて。
マミ
「自分でやめる」が再燃を招くってことですね。
りーこ
そう。自己中断は再燃を招く。主治医と薬剤師と一緒に計画するのが大事。

🌸 7-1のまとめ

1TNF阻害薬は妊娠中も継続が基本
2新規ならシムジア(PEG化)
3生後6ヶ月は生ワクチン延期
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第7章 — 継続ルール
💊
第7章|7-2
プレドニゾロンは定番
STEP 02 胎盤で9割が不活化

PREDNISOLONE自己免疫疾患治療の
定番ステロイド

ユキ
ユキ:学生時代にSLEと診断されてプレドニンをずっと飲んでて。妊娠時は主治医に「続けて」と言われました。不安だったけど続けました。
りーこ
それが正解。プレドニゾロンは妊娠中の自己免疫疾患治療の定番胎盤通過が少ないタイプのステロイドだから、赤ちゃんへの影響は小さいの。

ステロイド内服 妊娠中ポイント

妊娠中メモ
プレドニゾロン◎ 第一選択胎盤で9割が不活化
メチルプレドニゾロンプレドニゾロンより強め、使用可
デキサメタゾン△ 特殊用途胎盤通過、胎児肺成熟促進で意図的使用
ベタメタゾン△ 特殊用途同上

💡 用量の目安

  • 20mg/日以下ならリスクは比較的小さい
  • 高用量/長期では口唇口蓋裂・妊娠糖尿病・早産リスクがわずかに上がる
  • ただし病気のコントロール優先の場合、リスクよりベネフィットが勝ることが多い
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第7章 — プレドニン
🚫
第7章|7-3
MTXは絶対禁忌
STEP 03 妊活3ヶ月前に中止

METHOTREXATE強い催奇形性。
迷わず中止

マミ
MTXっていろんな病気で使うんですよね。
りーこ
MTXは妊活3ヶ月前に中止。これは絶対のルール。強い催奇形性・流産リスクがあるから。

📅 MTX 妊活タイムライン

  • 妊活3ヶ月前:MTX中止
  • 中止後:葉酸 5mg/日を1〜3ヶ月摂取(排出促進+神経管閉鎖障害予防)
  • 代替薬:TNF阻害薬・プレドニゾロン・サラゾスルファピリジン等
  • 男性パートナー:ガイドラインによっては同様3ヶ月前中止推奨
🚨
服用中に妊娠判明 → 即中止+受診 葉酸拮抗作用が強く、神経管閉鎖障害・心奇形・口唇口蓋裂リスク
061
第7章 — MTX
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第7章|7-4
潰瘍性大腸炎・クローン病
STEP 04 再燃させないことが鍵

IBD「薬をやめたら
再燃」の悪循環を断つ

ユキ
ユキ:同僚が潰瘍性大腸炎でペンタサを飲んでて、妊活中なんです。
りーこ
IBDは「再燃させないこと」が妊娠成功の鍵。自己中断すると再燃 → 栄養不良 → 流産・早産リスク、という悪循環に入るの。

IBD 治療薬 妊娠中評価

妊娠中
メサラジン(ペンタサ・アサコール・リアルダ)◎ 継続
スルファサラジン(アザルフィジン)○ 葉酸併用
プレドニゾロン○ 必要時
アザチオプリン/6-MP○ 継続可
タクロリムス/シクロスポリン○ 継続可
TNF阻害薬(レミケード/ヒュミラ/シムジア)○ 継続
MTX× 禁忌
サリドマイド× 禁忌
JAK阻害薬(ゼルヤンツ等)× 妊活前中止

💡 スルファサラジンは葉酸併用を忘れずに

  • スルファサラジンは葉酸を消費する
  • 葉酸2mg/日以上の増量が推奨
  • 忘れがちなので要注意
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第7章 — IBD
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第7章|7-5
乾癬のバイオ
STEP 05 基本はリウマチと同じ

PSORIASIS新しいIL系は
"データ蓄積中"

マミ
乾癬もバイオ製剤使うんですよね。
りーこ
乾癬もTNF阻害薬・IL-17阻害薬・IL-23阻害薬が主流。基本はリウマチと同じで、シムジアが妊娠中の第一選択
りーこ
ただし新しいIL-17・IL-23阻害薬はデータ蓄積中。できれば妊活前にTNF系に切り替えるのが無難。
🔬
新しい薬ほどデータが足りない 最新=最善とは限らない。実績ある薬に切り替える勇気も

🌸 7-5のまとめ

1乾癬バイオの第一選択はシムジア
2IL-17/23はデータ蓄積中
3妊活前にTNF系へ切替が無難
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第7章 — 乾癬
📝
第7章|まとめ
りーこ先生の3行メモ
SUMMARY 覚えて帰ってほしい3つ

3 LINES TO REMEMBER"続ける"という選択肢

🌸 第7章の核心

1TNF阻害薬(シムジア・ヒュミラ等)は妊娠中も継続が基本。病気の再燃のほうが赤ちゃんに悪い。
2プレドニゾロンは妊娠中の自己免疫疾患の定番。胎盤で大部分が不活化。
3MTXは妊活3ヶ月前に中止。葉酸補充+代替薬への切り替えを。
💉TNFは継続
💊プレドニンOK
🚫MTX禁忌
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第7章 — まとめ
🗂️
第7章 薬剤早見カード
お守りに

自己免疫・バイオ 総まとめ

商品名一般名妊娠中授乳中ひとこと
シムジアセルトリズマブ◎ 第一選択PEG化、胎盤移行ほぼ0
ヒュミラアダリムマブ30週前後まで
エンブレルエタネルセプト継続可
レミケードインフリキシマブ○ 20週まで後期は検討
ステラーラウステキヌマブデータ蓄積中
プレドニンプレドニゾロン◎ 必要時胎盤で不活化
メトトレキサートメトトレキサート× 禁忌×妊活3ヶ月前中止
ペンタサ/アサコールメサラジンIBDの柱
アザルフィジンスルファサラジン葉酸併用
イムランアザチオプリンIBD・SLE
プログラフタクロリムス移植・自己免疫
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第7章 — 早見カード